理事長挨拶

President’s
statement

一般社団法人 福岡青年会議所
2025年度理事長所信


理事長 尾本 勝征

「基本理念」
私たちは、青年らしい挑戦、
ワクワクする本気の遊び心を
追求する事で、
明るい豊かな“FUKUOKA”を
実現する。

あなたは今、何のためにJC 活動をしていますか?
あなたは今、人生を有意義に生きていますか?
あなたは今、未知なる可能性にワクワクしていますか?
誰もが何かを求め、何かに希望を抱き、無限の可能性を感じて、青年会議所に入会したのではないでしょうか。きっかけは小さなものだったかもしれません。しかし、入会を決意した時、胸に何かしらの想いがあったはずです。私も、その一人です。
入会した当初、私は会社を設立したばかりで、業績や日先の利益を上げることに必死でした。「自分の会社さえ良ければそれでいい」という損得勘定で行動していたのです。振り返ると、無我夢中で周りが見えず、後先を考える余裕もなく、先輩方や仲間たちに迷惑をかけることもあったと思います。しかし、この青年会議所には、どんな状況でも親身に向き合ってくれる先輩がいて、また、真剣に向き合えばそれに応えてくれる仲間たちがいました。彼らに支えられたことで、私はより高みへと導かれ、人に日を配り、気を配り、そして思いやることの大切さを改めて実感しました。
この福岡青年会議所という場所で12 年という月日を経て、幾つもの出逢いと多くの経験を得た私は、気づけば今、この場所に立てる人間へと成長することができました。
振り返ればそこには多くの偉大な先輩方、{言頼し合える仲間が存在し、今では何事にも変えがたい私の人生の財産となっています。
打算的な行動では、今の自分の枠を超えることはできません。自分が生み出す以上のものを成し遂げることは難しく、どれだけ時間が経っても次のステージに進むことはできないと私は思います。強い絆で結ばれた仲間たちと、本音で語り合い、本気で向き合い、力強く物事を推し進めていくことこそ、青年会議所の最大の魅力であり、誇りであると私は確信しています。
まちのため、ひとのため、未来の可能性のために‘‘今’'信頼という種をまく。
それには私一人の力ではなく、福岡青年会議所の全員が一丸となり、責任を背負う覚悟、やり遂げる行動力、そして揺るぎない信念が必要です。
幾つもの決断を重ね、幾つもの責任を果たすことで、互いの信頼が培われ、慕われ、それが尊敬へとつながり、一人ひとりが魅力溢れる人へと成長して行くのだと考えます。
どんな状況であれ、全ては自分次第です。
今、あなたは自分の道をどう歩んでいますか?
どのように自分の未来を切り拓きたいですか?
あなたの人生は、あなただけが描くことができます。
全てはあなたの手の中にあります。
あなたが多くの決断と行動を重ねながら、困難を乗り越え歩む道は、後輩たちの道標となり、希望に満ち溢れる“ミライ”へ想いを紡ぐと信じています。

地域や企業の人財が
自然に集う組織への改革

近年、ITやビジネスの著しい発展によって人々の社会的価値観は大きく変化しました。
一方で福岡青年会議所は70年を超える歴史の中で時代に合わせた変化・進化をしてきたでしょうか。
偉大な先輩方がこれまで作ってこられてきた信頼・実績の歴史に裏付けされた団体の強さは第73回全国大会福岡大会へと繋がり私たちの代まで受け継がれてきました。
しかしながら、時代に沿って生まれ変わらなければならないことを置き去りにしてしまった反面があると思います。
それは会員数の減少、女性会員比率の低さなど、様々な数字に表れているように思えます。
限られた多くの時間を注ぎ、何のために、なぜJCをやるのか。
今一度その意味を一人ひとりが考え、団体を変化・進化させることが重要だと私は感じています。
ホークス誘致、アジア太平洋こども会議、中洲JAZZ…
私たち現役も知る歴史の中で生まれた様々な事業。
そんなJCを知るひとは“今”まちにどれだけいるのでしょうか。
私は12年の歴の中で、JCが毎年運動を展開し、その運動を支援・応援をしてくれるたくさんのひとたちの姿や笑顔を見てきました。しかしながら、JCの運動の素晴らしさはその認知度と比例しているように見えない側面も見てきました。
実績や連動の“発侶”によってJCをまずは知ってもらうこと。
そして組織の“ブランディング”を行うこと。
この“ブランディング”こそが福岡青年会議所のファンを内外に作り、10年後、20年後へと続く持続可能な団体へと成長させることへの最重要テーマであると考えます。
また、2024年度は第73回全国大会福岡大会という機会を得て、我々は大きく成長することができたのではないでしょうか。
この成長の機会の陰にある、シニアメンバーの先輩方、行政や関係各所の方々の支えを忘れてはなりません。この築いてきた関係性の強みを活かし、私たちはまちに本当に必要とされる団体へと進化していかなくてはなりません。
その為にもFUKUOKAのひとづくり、まちづくりを行っていくために日の前のまちの課題を捉え、市民の意識醸成を行っていく事業展開が私たちには必要です。
そして2022年に提言した「子ども未来都市宣言」を軸にした事業展開を3年目の今年をひとつの節目と捉え、行政や市民がイメージすることができる一大事業を実施します。
本年もまちの課題に寄り添い、ミライのFUKUOKA へと繋げていく。そんな事業を展開していきます。
私たちの所属する青年会議所は多くの機会を得ることができる組織です。
その機会を正会員だけではなく、より若い層へと提供することができる仕組みを設け、時代に合わせた組織改革、人材育成を行い、内外のファンを作ることで自然に人財が集う組織への改革を目指します。
ひと・団体・組織、そしてまちまでも巻き込み、共感を生み出していくために、
“本気の遊び心が生み出す、型にハマらない発想で”
まずは私たち自身がワクワクしていきましょう!

戦略的にムーヴメントを創り出し、
共感を生む

私たちの行う運動や活動は多くの人々に共感を生むことが前提です。
あらゆる情報が溢れる時代に、いくら断続的に情報を発信したとしても、伝わらない言葉や文章はただの文字列にすぎません。
時代の移り変わりが早い中、我々の存在意義やファンを確立していくためには、受け手の立場を考え、心に刺さるメッセージで伝わる発信を行う必要があります。
また、我々が取り組む事業は多岐にわたるが故に、一人ひとりのメンバーが日々どんな活動をしているのかが見えづらくなっている現状があります。対内への情報発信もこれまで以上に充実させ、一つ一つの事業や活動にスポットライトを当て、組織全体のモチベーションと価値を向上させることで運動の質を高める必要があります。
「共感がファンを生み、ファンが組織を活気付ける」持続可能な組織運営のために、マーケティングの理論を用いてしっかりと戦略を立てることで成果を最大限に発揮し、より多くのひとにJCの魅力の発侶と共感を生み出しましょう。

エンゲージメントを向上させ、
より強固なJCへ

35年ぶりに開催された全国大会を契機に、私たちは多くの仲問やパートナーとつながりを持つことができ、主管する私たち一人ひとりが貴重な経験で成長と発展の機会を得ることができました。このつながりと経験こそが何事にも変えられない財産になったと考えます。幾つものチャレンジをやり遂げてきた私たちは今、新たなステージに立っています。
今に至るまで培われた人財を来年、再来年とさらに飛躍させ、より強い福岡青年会議所とするためにも、これまで築き上げた関係性をさらに強固なものとし、福岡ブロック協議会内の22の青年会議所や姉妹JCのみならず全国の各地青年会議所を巻き込み、運動面や人材育成面で協力し、共創することでこれからを担う人財にJCの機会と魅力を伝えていきましょう。

地域の未来を切り開くために

ここ数年、IT やビジネスの急速な進展により、人々の社会的価値観や経済のあり方が大きく変わってきました。また、ChatGPTなどのAIやIoTの台頭により、さらなる時代の変化が避けられず、近い将来、私たちの身近な仕事のあり方も大きく変わることでしょう。
かつて、米誌のランキングに多くノミネートされていた日本企業も、1989年には111社が名前を連ねていましたが、2019年には52社、2023年には41社に減少しました。このように、多くの分野で日本企業の存在感は薄れ、「失われた30年」とも称されるほど、日本の経済はグローバルな視点から見ると衰退しています。また、私たち国民も増加し続ける税金や社会保険料、物価上昇による経済的負担が増す一方です。しかし、その一方で、AIなどの技術を活用することで、一人あたりの労働生産性が向上している側面もあります。これにより、日々の時間が単なるタスクの処理に終わることなく、より多くのアイデアを生み出す時間やスキルアップのための学ぶ時間が生まれ、人生を豊かにするための新たな可能性が開けると考えます。
住み暮らす一人ひとりの幸福度を向上し、豊かなFUKUOKAにしていくためにも、私たちは誰もがグローバルに成長し、世界経済と対等に渡り合うための知識、スキル、行動力を身につけ、それをまちへ還元できる人財となることが必要です。

来たるべき時に備えて

福岡県西方沖地震の発災から20年、熊本地震からは5年、能登半島地震からはまだ僅かな月日しか流れていない中、我々は何を学び、何を教訓として取り組むことができているでしょうか。近い将来発生すると示唆される南海トラフ大地震や警固断層に関連する地震発生確率が“Sランク”という危機が差し迫る中で、機動性に富んだ進化はおろか、防災意識が風化してはいないかと懸念を抱いています。
また、近年の世界情勢はより複雑化し、近隣諸国問における政治同士の外交だけでは解決す ることが難しい様々な問題を内包しています。
我々福岡青年会議所もいつ起こるか分らない有事にどのように備えていくか常日頃から一人ひとりが考え、他団体と密に連絡を取り合い、より効果的な災害支援に備える準備が必要であると考えます。いざ有事に直面した際、想像を超える混乱の中で率先して行動を起こす者こそ、広大なネットワークを有した我々に他ならないと考えます。人との繋がりを活かし、被災経験者や被災地の同志の実体験に基づく教訓から、防災減災体制の在り方を考察すると共にどう行動すべきかを研鑽し、実働可能な体制の一層の強化に努めていく必要があります。
また、市民の自助意識の啓発を図り、「有事」へ取り組む機会を創出すると共に、我々は企業人としても、BCP (事業継続計画)対策に取り組む必要性も忘れてはなりません。家族を守り、社員を守り、住み暮らす地域を守る行動をすることで尊い「命」を守りましょう。

ワクワクする夢を描く

福岡の輝かしい未来を担うのはまちに住み暮らす子どもたちです。この子どもたち一人ひとりが福岡を心から愛し、その魅力を伝える存在へと成長してもらわなければなりません。
コロナの脅威が過ぎた今、こども未来都市宣言で掲げるリアルな国際交流の機会を提供し、スポーツや文化の交流を通して人財の育成を図ることで、「アジアNol 都市」へと推し進めていく必要があります。
心豊かな時間でライフスタイルを楽しめる魅力的なFUKUOKA のまちへと発展させるために、まずは、福岡に住み暮らす子どもたちが、地域に潜在する魅力や価値を改めて認識し、未来の魅力を伝える人財とするために今まで以上に市民の意識を変革し、私たち自身が福岡の誇れる資源となりましょう。
そして、すべての住まう人々がワクワクする事業を創出し、経験や体験を通して、インパクトと共に子どもたちに提供することで未来のまちへの基盤となり、それが子どもたちの「夢」となって住み暮らす人の幸福度向上へとつながります。多くのネットワークを活かして地域に求められている新たな事業に挑戦していきましょう。

経済人として個の成長と組織の進化を

「新日本の再建は我々青年の仕事である」。
この文章は1949 年に日本で最初に設立された東京青年会議所の設立趣意書に書かれた一文です。そして「あらためて述べる迄もなく今日の日本の実情は極めて苦難に満ちている。この苦難を打開していくため採るべき途は国内経済の充実であり、国際経済との密接なる提携である」と続きます。設立趣意書にある通り、国内経済の充実と国際経済の提携の観点でも、まず自分自身の社業を守り、成長させていくことが大前提となると考えます。
私たちは、地域のニーズや市民の期待に応えるために、適切なビジョン設計と持続可能な事業活動を行う必要があります。自分自身の成長が社業に活き、それが福岡のまちに良い影響を及ぼし、さらには全国へと伝播することで日本経済を良くしていくことができるはずです。まずはその原動力たる個々の成長のために、金融リテラシーや経営スキルなどのノウハウを持ち合わせて共有することで、個々の成長と組織の進化につなげる学びとし、メンバー同士のコミュニケーションを活性化させることで組織全体の地盤を強化させていきましょう。

変革をもたらす原石の発掘

青年会議所は地域のリーダーを育成する最も効果的な組織です。会員の拡大は「戦略」を立て「行動」する必要があり、多くの候補者に青年会議所の運動を発信し、青年経済人として成長する機会、地域の総合的な発展に寄与する機会を伝えることで、運動の理解と協力をより強固なものとし、共に運動する人財を増やしていく必要があります。
現在の会員の入会率は10 年前では平均70%だったのが近年は60%へと低下傾向にあります。この現状を打開するためにもこれまで培った繋がりを活かし、対内の連携をより活用することが必要です。
青年会議所は多くの機会を得ることができる組織です。正会員だけでなくより若い層に機会を提供することができる仕組みを設け、会員の在り方を見直し、多くの共感を得て、共に学び合い、「人のため、地域のため」利他の精神で「行動」することのできる人財を増やすことが福岡JC の持続可能な組織となるために必要不可欠です。

変革を起こす志ある人財の育成

綱領の一文に「志を同じうする者相集い力を合わせ」とあるように、組織づくりにおいて最も重要なことは志の共有であると考えます。これは青年会議所に限らず会社や家庭においても同じです。
まずは我々自身が、これからの時代に必要とされる知見を習得し、今一度JC プロトコルや三信条、リーダーシップについて考え、地域における課題解決を実践できる強い実行力と行動力を兼ね備えて、周りにいる人たちを巻き込んでいける魅力ある人財に成長しなければいけません。世界経済をも変えた先輩、国のトップを勤めた先輩、地域に変化をもたらした先輩、多くの先輩方の実績があるように、多種多様な機会を提供するJCだからこそ、その学びの機会を積極的に活用し、個人の成長、その先の所属する組織の成長につなげ、我々の運動にさらなる共感を生むことができる人財を育成しましょう。

強いパートナーシップが生む
効果の最大化

無から壱を創るのではなく、「行政、企業、団体、資源×JC」でイノベーションを起こすことが時代の波を捉え、変化を追い風とし、明るい豊かな社会の実現に向けた未来へと加速させることができると考えます。
我々は、青年経済人の集う組織であり、そこに所属する誰もがみな何かしらのビジネスを通して地域経済に貢献しています。
地域においてその効果を最大限に発揮させ、自らの成長だけでなく、企業や地域の発展に寄与するには、行政・企業・団体と積極的なパートナーシップを構策することが必要です。より多くの地域市民を巻き込み、我々の運動に共感を促すことで、組織のカウンターパートとして協力し合い、効果を最大限に高めましょう。
青年会議所では、「ビジネスの機会」が公益社団法人日本青年会議所の定款に明記されて以来、これまでより多くの場面で関連する事業や成果を生み出してきました。福岡青年会議所においても、ビジネスの視点での連携をアップデートし、組織や地域の関係性を次のステップに進めるためには、より一歩踏み込んだ関係を構築するとともに、より実践的な取り組みに昇華する必要があります。団体や組織の枠を超えて持続可能な連携関係を創り、地域や市民に愛される好例を生み出していきましょう。

時代の波に乗る機動的かつ
ニューノーマルな組織

青年会議所は組織の根幹を担う運営が重要であり、長きにわたり守り抜かれてきたルールや慣習と、受け継がれてきたプロトコルのもと運営されてきました。また、様々な状況下でどんな時代においても機動的に率先して行動することで、組織のレジリエンスを高めた各種会議、総会連営を可能とすることができます。
これからの時代、戦略的に連動を起こしていくためには固定観念を捨て、発想の転換を柔軟に行い、運営において取捨選択をする中で時には諸規則を変更することも視野に入れ、時代に即した組織の基盤を創っていきましょう。

型にハマることのない本気の遊び心はひとを
ワクワクさせ、多くの心を虜にします。
新たな時代の幕開けに馬鹿げた夢物語を
壮大に描き、歴史に刻みましょう。
福岡から日本へ、
そして日本から世界へと革新する中心地が、
このFUKUOKAでありたい。

Take Action!!