理事長挨拶

President’s
statement

一般社団法人 福岡青年会議所
2024年度理事長所信


理事長 石坂 泰三

 2023年度福岡JCは70周年を迎え、これからの大きな変化が予測される未来に向けて、新たな舵をきりました。2020年から世界は新型コロナ感染症の猛威に見舞われ、非日常の生活を余儀なくされ、約3年は青年会議所の活動も自粛しなければならない状況が続きました。しかし2022年の終わりごろからは世界的に行動制限も解除され、日本でも徐々にではありますが経済活動が戻り、2023年5月からは新型コロナ感染症5類に引き下げられ、季節性インフルエンザなどと同等の扱いになりました。
 コロナ禍によって顕在化した課題は多々ありますが、私たち福岡JCは、福岡のまちのために、そして福岡に住み暮らすひとのために、これからも未来に向けて確かな歩みを続けていかなければなりません。今後はコロナでの活動自粛の経験も多いに活かしつつ、活動をおこなっていくべきではないでしょうか。
 2022年に掲げた提言書「こども未来都市宣言」を皮切りに、70周年を迎えた福岡JCは福岡のまちでさらなる発展を目指して動き出しました。この提言書で掲げた3つの柱、「グローバルシティ」「アートシティ」「アーバンスポーツシティ」を軸とした活動を着実に展開していくことが重要なのです。2023年度を皮切りに、JCの単年度制を活かす視点で、さまざまな活動をしていくことが必要不可欠です。そして今後はこの3つの柱から派生する具体的な課題に関しても、私たちは真摯に受け止め活動していこうではありませんか。

全国大会に向けて

 今年度は35年ぶりに福岡の地で全国大会福岡大会が開催されますが、35年前は私の父親が全国大会の理事長を務めさせていただきました。
 今年の全国大会開催地理事長を私が務めるということは、大きなプレッシャーでもありますが、たくされた運命というものを感じました。私の父親は数年前に他界し、その当時のことを父本人から聞くことはかないませんが、当時実施された全国大会以上のことを成し遂げることこそが私自身の使命なのではないかとおもっています。
 35年前に開催された全国大会から、まちは急速に変化してきたと感じています。この変化をさらに加速させるためには、今年度10月の全国大会福岡大会の開催はまたとない好機だと考えます。しかし全国大会だけに注力するのでは、LOMの活動としては十分とは言えません。私たち福岡JCメンバーは福岡のまちのため、ひとのために活動していくことが肝要です。
 2021年の主管決定から、試行錯誤しながら全国大会福岡大会に向けて大会構築をおこなってきました。そして今年度の全国大会はその準備してきたことを形にして日本JCと共に実施に向けて動いていかなければなりません。そのためにLOM全体をどのように巻き込んでいくか、一人ひとりが自問自答し活動していくことが重要だと考えています。
 全国大会を主管するうえで、JCとしてよく耳にするのは5益という言葉です。地域益、社会益、主催者益、主管益、参加者益この5益の中で特に福岡JCが意識しなければならないのは、主管益、地域益だと感じています。
 主管益はLOMの組織としての結束力が高められ、行政、他団体、個人との強いネットワークが構築、強化されます。地域益は全国大会を通じて行政、企業、団体、個人が福岡の風土、伝統、文化、まちづくり、食などの魅力を全国に発信できます。
 福岡JCとしてはまちのためひとのために、主管益、地域益、を第一に考え全国大会福岡大会を構築し、全国のJCメンバーに福岡JCという存在、福岡のまちの魅力を知っていただく貴重な機会にしていきましょう。
 そのためには、やはりJCとしての周到な準備がより重要になってくると強く感じています。全国大会福岡大会が開催されるからといって、通常の運動、活動を断念するのは、福岡JCで活動しているメンバーの成長にはつながりません。そこで今年度は福岡JCとしての通常の活動をおこないながら、全国大会の準備、実施をしていくことになります。それには早い段階からの調査、研究がより重要になり、事業構築も今まで以上にスピード感をもって取り組んでいかなければなりません。LOMの通常の動きよりも一歩先を見据えて皆さんには活動していただきたい。
 また、この全国大会を大成功におさめるために、重要になってくるのは組織そのものの在り方ではないでしょうか。全国大会では莫大な予算で事業が実施され、全国のJCメンバーがこの福岡の地で、私たちが日本JCと作り上げていく全国大会を体感するということを考えれば、財政面、コンプライアンス面がより重要になってきます。全国のメンバーが参加する大会において、福岡JCの取り組む姿勢も重要であり、制作物をはじめとして、パワーポイント一つにしても正確なチェック体制が必要であり、入念な予算の調整が必要になってきます。
 福岡JCとしてもこの全国大会を機に今一度、財政面の在り方、コンプライアンス面の在り方を見直していくことで未来の福岡JCの活動につなげていきましょう。
 また全国大会に全国各地の青年会議所メンバーに来福してもらうために、インパクトを与える広報活動も重要になってきます。ネット社会が主流となっている今、SNSの使い方一つにしてもさまざまなやり方があると実感しています。新しいことに挑戦し、この全国大会を機に福岡JCとしての広報の在り方も確立していき、未来の活動につなげていければとおもいます。

日本JC、九州地区、福岡ブロックとの連携強化

 全国大会を構築し成功に導くにはメンバー一人ひとりの力とLOMの結束なくしては達成できません。しかし福岡JCだけで成功に導くには難しいことも多くあると感じています。
 主管が決まってから行政、他団体、他LOMとの連携強化には務めてきましたが、全国大会では九州地区協議会、福岡ブロック協議会との連携も今以上に強固なものにしていかなければなりません。
 いままで通り動いていては、さらなる協力体制強化にはつながっていきません。
今回、副主管をお願いする九州地区協議会、福岡ブロック協議会、福岡県内の21LOMの皆様のもとへは足を運んでご案内、ご協力のお願いに多くのメンバーと行く必要があると考えています。
 また全国大会を成功に終わらせるには、実際に大会に登録していただかなければならないのが現状です。そのために全国の地区協議会、九州内のブロック協議会などにPR、キャラバンを実施し参加促進につなげていく必要があります。
 昔ながらのJC、泥臭いJCをしなければいけないとはおもいませんが、全国大会を機にJCの行動力、実行力を肌で感じ、今後のJC活動にも活かせる経験を積んできましょう。

新たな価値観を見出す、出向の大切さ

 JCに所属していることで、メンバー一人ひとりに出向の機会があります。
 日本JC、九州地区協議会、福岡ブロック協議会に役を受けて出向するメンバー、委員として出向するひとなど、さまざまな役柄があるとおもいます。
 これまでも九州地区協議会や福岡ブロック協議会へ役員として出向してきたことで、メンバーも多くの経験を積んできたとおもいます。また2020年に国際アカデミーを主管してから、2024年の全国大会主管が決まり、日本JCへの議長・委員長、VC、幹事の出向は当たり前になってきました。これからは日本JCへ役員出向をおこなうなど、全国大会を機に出向の在り方が変わっていくのではないかと考えています。
 メンバーとしてLOMで活動をするのも、一つの活動の在り方だとはおもいますが、私自身が2021年に日本の議長を経験させてもらい、多くの学びと経験、そしてひととのつながりを得ることができました。
 私にとって2021年という年は福岡JCのサポートのみならず、多くの方々に支えられて活動ができた1年となりました。経験の数は与えられる役職によっても変わり、その役職の中で自身がどのように活動するかによっても変わってきます。
 出向先では新たな他LOMとの出会いがあり、多種多様な方々とも出会う機会もあります。その中で、他LOMの活動や、他団体の取り組みなど、LOMの未来につながるヒントや出会いが数多くあると感じています。出向したからこそLOMに持ち帰ってこられること、自分自身の所属組織に持ち帰れるものがきっとあるはずです。
 新たな友達を作るのもよし、一緒にビジネスをするのもよし、出向する楽しさを自身で見つけていくことで、新たな価値観を見出してください。

グローバルな視点で考える福岡のまち

 これから先、日本の総人口の減少により海外からの労働力も必要不可欠になっていきます。福岡市だけを見れば、海外や他県の方々が移住してきているため人口は増加しています。福岡市の外国人人口は令和5年4月で41,153になっていて、アジア圏の人数が多いものの、今後を見据えれば福岡というまちは、アジアの玄関口だけではなく、世界の玄関口へと推し進めていく都市としての素質と力を兼ね備えているのではないでしょうか。
 現在、台湾の半導体受託生産最大手のTSMCが熊本に進出し、工場を建設しています。この工場では海外の労働者が働き、その家族も移住してくると言われているため、1,000名以上のひとが海外から移住してきます。
 今後は海外から移住してきた若者たちが、日本国内の青年会議所に入会してくることも増えてくるのではないでしょうか。
 この現状を踏まえ、福岡JCとして海外のひとたちに、福岡のまちの魅力、伝統や文化をより深く知ってもらい、福岡に住んでいる市民との交流を増やし、共にこのまちのさらなる発展を目指して欲しいと願っています。そのためには私たちが福岡のまちの魅力、伝統や文化への理解を深めていく必要があると考えています。そして今後は、福岡のまちを国際都市としてどのような位置づけにするかが重要なテーマになってくるとおもいます。
 グローバル化が進むことによって、海外からの流入が増え、福岡のまちは多文化社会へと進化していきます。多文化が福岡のまちにもたらす影響を考えれば、福岡のまちは多文化社会の主導都市として今後成長していくことで、新たなグローバルシティへと発展していくと信じています。 グローバル化を進めていくために重要な一つとして、コミュニケーション能力があります。グローバルシティを目指していく以上、共通言語を身につけるということは必要不可欠ではないかと考えています。それが多くの多文化を受け入れ、理解を深めるということにつながるとおもいます。

まちの未来に新たな光を

 子供のころから磨かれてきた感性は、未来の福岡のまちの発展に寄与していきます。2022年に作成した福岡JCの提言書「こども未来都市宣言」の中に、「アートシティ」「アーバンスポーツシティ」があります。芸術、スポーツを通じて子供たちに、新たな感性を磨いてもらいたいという意味が込められていて、その感性を磨く環境をつくるのは私たち大人の役目であり、福岡JCの役割ではないでしょうか。
 そのために私たち福岡JCができることは何でしょうか。福岡のまちに新たな芸術文化、スポーツ文化を確立すること、そしてその新しい文化を福岡から全国さらには世界へと発信していくことでしょう。
 福岡市でも、2022年からFukuokaArtNextや2023年には世界水泳選手権福岡大会など、市をあげて、アートやスポーツにも力を入れています。しかしプロ野球球団やプロサッカーチームはあるものの、その他にアート文化、スポーツ文化がこの福岡のまちに根付いているとは言い難いとおもいます。そこで誰もがおもいつく当たり前のことではなく、子供たちの豊かな感性を磨いていける新たなアート文化、スポーツ文化をまち全体に根付かせていきたいと考えています。

福岡のまちの魅力、ひとの魅力を発信していくために

 10月に全国大会が開催されるため、産学官民との連携は今まで以上に重要になってくると考えていますが、これからも持続的に福岡のまちの魅力、ひとの魅力を発信していくためには、福岡JCと産学官民との強固な関係性構築が今後の課題だと考えています。
 福岡市が進めている天神ビックバン、博多コネクティッドなどで、新しいまちの魅力、文化を構築していくことは、未来の福岡のまちにとって重要なことではありますが、それに加えて福岡の歴史、文化をこれから発信していくことが、福岡のまちをアジアNO.1都市へと進化させてしていけるのではないかと感じています。
 福岡のまちが抱えている課題や問題を第一に理解し、どのような形で解決していくのか、産学官民のそれぞれが必要に応じて連携を取りながら進化、変化させていくきっかけを福岡JCとして作っていきたいとおもいます。

福岡のさらなる発展のため、ミライへの挑戦

 全国的な問題として超高齢化社会に直面しており、子供の出生率は年々減少しています。第一次ベビーブームは最高270万人の子供が、第2次ベビーブームは最高209万人の子供が出生していました。しかし令和元年では100万人の大台を割り87万人となっています。
 全国的に見ると福岡県の出生率、人口の増加率は相対的に高いものの、このままでは少子高齢化が加速します。子供を生みやすい環境を高いレベルで県や市とタッグを組み改善していくことも必要不可欠です。県や市のサポートは増えてきており、今年度は、第2子以降の保育料を完全無償化、子供の医療費ワンコイン制度を高校生まで拡大するなど子育て支援策を大幅に拡充しています。
 子育て支援も重要ですが、視点を変えれば、子供を産みやすい環境ではないということも問題なのではないでしょうか。親世代と比べると出産費用が高く、この対応として市からの助成金も増えてはいますが、その分出産費用も上がっている現状があります。
 また夫婦共働きが増えている今、保育士不足で子供を預けるのが困難な状況も顕在化しています。子供を産む時、そして子供が産まれてからの問題は山積みとなっており、この問題を解決するのは私たち福岡JCの使命だと考えています。
 私自身も2022年に第一子が産まれ、今まで見えなかった子供の未来について考えるようになり、子供が産まれるまで、そして子供が産まれ子育てをしていく上で、沢山の問題があるのだと改めて感じました。
 これから産まれてくる子供たちのため、そして成長を続けている子供たちのために、福岡のまちを親子、そして家族の笑顔があふれるまちへとしていくために私たちが新たなムーブメントを起こし、必要とされる存在へとなっていきましょう。

ミライへの人財育成

 未来の福岡のまちを作っていくためには子供たちの育成事業は、どのJCでも欠かせない事業の一つではないでしょうか。
 今年度はZ世代、α世代の子供たちが交流できる青少年育成事業を福岡JCとして構築できればと考えています。Z世代、α世代と言われると年齢の幅が広いと感じるかもしれません。しかし、この世代の子供たちがこれからの福岡のまちを発展させていくのです。皆さんも子供のころ、お兄さん、お姉さんと一緒に活動を共にした経験があるのではないでしょうか。世代を超えて何かを一緒に成し遂げることで、世代を問わず子供たちのこころを成長させ、それは記憶として残り、大人になった時にその経験を生かし、次の世代へとつないでいけるでしょう。
 子供たちを人財へと成長させることが、持続的なまちの発展につながっていくのだとおもうのです。事業を構築、実施していくうえで、Z世代、α世代に福岡のまちの魅力をより深く知ってもらい、その経験をまちへと発信していく、JCの事業だからこそ経験できる福岡の魅力を存分に味わえる青少年育成事業を体感してもらい、福岡のまちのさらなる発展に寄与する人財へと成長することを期待しています。

LOMを活性化するための人財育成

 全国的に入会3年未満のJCメンバーが増加傾向にあり、メンバー数は減少傾向にあります。
昨年福岡ブロックではJCI糟屋が誕生しましたが、消滅を検討しているLOM、統合するLOMも少なくはないと実感しています。
 福岡JCも35年前の全国大会の時には約400名の会員がいました。現在では200~250名の会員数をいったりきたりという状況です。そのためここ数年では拡大の設定人数を高くし、各委員会のノルマも高くなってきているようにおもいます。
 全国大会を開催する年だから、拡大や研修をやらないというのも選択肢の一つですが、今年だからこそ経験できることも大いにあるのではないでしょうか。全国大会を準備、実施していく過程を肌で感じてももらうことで、JCに入会したい若い人財を発掘できるかもしれません。そして全国大会を実施することでJCに興味をもってくれるひとたちもいるかもしれません。
 全国大会を開催する年だからこそできる拡大のやり方、研修の在り方を模索しながら、確かな目標を定め、JCを自慢できる組織、JCに自ら入りたくなる組織へと変化させて行けるきっかけにしてほしいとおもいます。

環・ミライへ

 国際的で機能的な都市を目指す福岡から、“新しいかたちの未来都市を築きたい”
 そんなおもいから創立70周年を迎えた福岡JCは、本年度「環・ミライへ」というスローガンを掲げ、ひととまちをつなぐムーブメントを起こします。
 「環(かん)」とはひとと地域をつなぐ輪でありリンクです。地域というエリアを超えて、福岡から全国へ、さらには世界へと広がる想いを込めました。
 「ミライへ」は現在から将来へと続く豊かな未来の実現を表現しています。エリアを超えて、時を超えて、活気あふれる社会づくりに貢献したいと考えています。
 将来を担う子供たちのために、そして安心して暮らせる社会環境づくりのために、私たち福岡JCは、あふれる若き情熱で、さまざまな分野で活動に取り組みます。

エリアを超えて、明日へ!

グローバルにひととまちをつなぐ!

全国大会の年、
今年度でしか経験できないことがきっとあるはず。
そしてひととして成長できる
多くの機会と学びがあるはず。
失敗してもいい、
それを成長につなげることができるのもJC。
家族、会社そして
ひととのつながりを大切にしながら、
今年は例年以上に本気でJC活動に取り組んでいこう。